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インフラ物性研究機構の使命と活動
インフラモニタリング技術、IoT、ビッグデータ、AI、シミュレーション等々、高度なデータサイエンス技術を用いて、インフラマネジメントの高度化を目的としたデジタルインフラマネジメントの新しい潮流が生まれつつあります。その一方で、気候変動に対応するためのインフラ・カーボンニュートラル技術、国際政治の不安定性が増す中で経済安全保障を確保するためのインフラ・リサイクリング技術、多発する災害に対応する高度化した都市の強靭化のためのインフラ・レジリエンス技術の発展が求められています。
このような技術的課題に応えるためには、インフラのマクロな情報・データのみならず、ミクロな物性レベルでの新素材の開発、新工法の開発等を推進していくことが必要です。インフラの劣化過程に関する点検・モニタリング、力学的劣化機構の解明、劣化現象の力学的・統計的モデル化などを含むアセットマネジメント技術は、過去10年間に長足の進歩を遂げてきましたが、物性レベルにおける劣化現象の発現やその進展のメカニズムに関しては、ほとんど研究事例や実務的知見が蓄積されていないのが実情です。
本研究機構は、京都大学と理化学研究所の協力の下に、播磨科学公園都市にある世界最高峰の大型放射光施設SPring-8(現在、SPring-8-IIへのバージョンアップが計画中)を活用して、太陽の100億倍の明るさを持つ放射光を使ってインフラのミクロな物性レベルの構造や機能に関する超ビッグデータを取得するとともに、スーパーコンピュータ富岳を活用して、インフラ物性に関する学際的研究の進化とその成果の社会への実装を目指したスーパーデジタル・インフラマネジメントの普及を推進していくことを目的としております。
もとより、インフラ物性学の研究は緒についたばかりで、研究課題や方法論も体系化されておりません。大規模実験施設、スーパーコンピュータを用いた具体的な新素材開発や新工法開発に関する基礎的・実証的な研究は、京都大学経営管理大学院内に設立予定の「インフラ物性研究産学共同講座(仮称)」において推進する予定ですが、本研究機構はインフラ物性工学の社会的発展を目指して、将来の研究・実験テーマの発掘、成果の技術基準化・標準化にかかる戦略、インフラ物性学の発展と体系化を目指し、産(個社)、産(業界)、官、学の情報プラットフォームとして立ち上げるものです。
京都大学経営管理大学院 特任教授(京都大学名誉教授)小林潔司
インフラ物性研究機構の活動内容
- インフラ物性学に関する最先端の研究情報の共有化
- インフラ物性に関する定期的な研究会の実施
- インフラ物性に関する各種セミナー、シンポジウム等の実施
- インフラ物性に関する各種広報活動の実施
- インフラ物性に関する技術基準化・標準化を目指した情報共有
- インフラ物性機構の会員同士の交流活動
会員の特典
- SPring-8を活用した実験、解析、開発に関する情報の取得
- 機構主催のセミナー・講習会、見学会等への参加
- 機構主催の特別セミナー等への会員(割引)価格での参加
- 機構主催のシンポジウム・セミナー等の発表資料の取得
- 会員同士の交流会・研究会・ワーキンググループ等への参加
- その他、機構が実施する事業・活動における優遇
活動と運営の方針
当面の活動
KBRC(京都ビジネスリサーチセンター)内のAMI(アセットマネジメントインスティチュート)の一部として活動を開始し、その後の活動・運営状況を踏まえて、一般社団法人化を目指します。
運営の方針
「インフラ物性学」は、土木・建築、放射光科学、材料・マテリアル、データサイエンスなどを学際的にカバーする全く新しい学問領域です。本機構には、民間企業、大学、国・地方公共団体等の方々に幅広く参加頂き、領域開拓のプラットフォームとして機能していきたいと考えています。
入会お申込みについて
会費
法人会員 |
機構の目的に賛同して入会する法人又は団体
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準法人会員 |
機構の事業に協力することを目的に入会する国、地方公共団体
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個人会員 |
機構の目的に賛同して入会する個人
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